介護用手すりの玄関での設置位置・仕様のポイント

玄関で靴を脱ぐ習慣のある日本では、古くから“上がり框(玄関の段差に取り付けられた横木)”は“内と外”を分ける役割を持ち「家の顔」として大事にされてきました。

日本の住宅では床下の換気を行うために地面から床までの高さを確保する必要があるため、昔の住宅になればなるほど大きな段差がある造りになっています。玄関に段差があることで、靴の脱ぎ履きの際に腰掛けることができて便利な点もありますが、段差の大きい上がり框は足腰に負担がかかり、転倒の危険性もあるため、段差を解消したいというお声も少なくありません。

一昔前の一般的なお宅で上がり框の段差は25~30㎝程度、かなり昔に建てられたお宅の場合は40㎝以上の段差があるケースも少なくありません。

玄関手すりで転倒予防

~ポイントは靴の着脱方法~

ある程度の段差は自力で昇降できる方

I型(たて)手すり

立ち座りなど体を上下に動かす動作や、靴を脱ぎ履きする際に、身体のバランスを保つサポートをします。重心や姿勢を安定させる目的での使用に適しています。

框や椅子に座って靴を脱ぎ履きされる方

L型手すり

低い位置からの立ち上がりと、靴を脱ぐ際の方向転換の際に、バランス保つサポートをします。また、横手すりの部分があることで、歩き出しの1歩を安全に踏み出すことができます。

立ったまま靴を脱ぎ履きされる方

横手すり+斜め手すり

斜め手すりと踏み台を用いることで、連続して同じ高さで手すりを使用することができ、登り切りからのもう1歩、下り切りからのもう1歩の安全確保をしやすくなります。

玄関手すり事例紹介

たて手すり
L型手すり
横てすり+斜め手すり

上記の3パターンを基本に、ご本人様の身体状況や玄関での動作のクセ、住宅の状況(既存手すりがあるなど)などを考慮しながら、お客様自身にとってベストな手すりの設置方法をご提案いたします。

L型手すり+横手すり
横手すり
たて手すり+斜め手すり

踏み台使用時の注意

上がり框に座って靴の着脱をする場合、踏み台があると立ち上がりが困難になることがあるので注意が必要です。
(※膝より前に足が出ると立ち上がることが出来ません。)

また、身体状態が変わるなどして、手すりを設置した後、踏み台を利用することになった場合、手すりの高さが低くなり使い勝手が悪くなってしまいます。手すりが低いと掴み損ねて転倒のリスクがある為、高さの変更が必要です。

下駄箱への手すり取付け

普段から下駄箱に手をかけて靴の脱ぎ履きや、上がり框の上り下りをされている場合には、手すりを下駄箱に設置することも考えてみてください。ただし、しっかりと壁などに固定されており加重に耐えることができる必要があります。また、備え付けの下駄箱の場合は、介護保険での工事が可能となっています。